草の乱

http://db.v2k.jp/asp/cnm.public/film/?id=5576
http://www.kusanoran.com/top.html

以前から見たかった「草の乱」をようやく見てきた。

自主制作映画なので、当然上映館も小さめ。100人ちょっとくらいの部屋で、2割程度の入り。20代は自分のみ。30〜40代の人が2、3人と、あとは50代以上とおぼしき方々が大多数。初めてっすよ、こんな映画。

で、肝心の映画は、すごく良かった。

矛盾しているかもしれないが、抑えられた演出が、より一層俳優たちを引き立てていて気持ちよく、緒方直人はもちろんのこと、杉本哲太、田中実も魅力的だった。

NHKの「その時歴史が動いた」の秩父事件版を、再現ドラマだけで構成したようなものをイメージすると、丁度いいと思う。秩父事件は、貧農が短絡的に武力に訴えた暴動なのではなく、政府の失政によって追いつめられた養蚕農家たちと、その政策に疑問を持つ井上のような裕福な商人が、言論や裁判などによる合法的手段をすべて試みた末に、やむにやまれず決起したいきさつがとても丁寧に描かれていた。武装決起後も、高利貸しのみを焼き討ちにするため、周辺の家屋への延焼を食い止めたり、寄付金の受領証を発行したりと、非常に誠実な一面が語られている。

いわゆる娯楽映画ではなく、ドキュメンタリー映画に近い。欲を言えば、武装蜂起後の軍団の動きを地図などで説明するくだりがほしかった。