出来過ぎた物語

もう、止まらないセンチメンタルモード。

まさに、今年のSuperBowlは、BettisのためのSuperBowl。

物語のスタートは、昨シーズンからだろう。シーズン途中で先発になったルーキーBenRoethlisbergerが、あれよあれよと勝ち星を積み上げて何と15勝1敗。しかし、AFC Championshipで、そのBenが未熟さを露呈して敗戦。

去年の時点で、すでに最後のシーズンかと言われていたBettis。彼のために、チームは一丸となって戦ったものの、まさかの敗戦。WardはインタビューでBettisのことに触れて思わず涙を流し、Benは「来年、必ずSuperBowlに連れて行くから残ってくれ」と懇願。Bettisはもう一年残ることに。

そして迎えた2005年シーズン。序盤は快調に勝ち星を積み重ねたものの、Benが負傷。代わりのMaddoxが全く使えず、3rdQBのBatchも煮え切らない出来で、3連敗。好調Bengalsに首位を奪われ、7勝5敗では、4地区制になったNFLでのWildCard獲得のためにはもう全く負けられない状況。次の相手は、強力ディフェンスで8連勝中のBears。

ああ、果たしてBettisはこのまま引退してしまうのか…。そんな不安を感じながら、自分は10年かけてやっとたどり着いたPittsburghで、Bettisの復活とチームの勝利を願って黒の36番のジャージを買ってハインツフィールドに乗り込んで…。

いや、もう、あの試合は奇跡だとしか言いようがないかも。

雪の中、NFC最強ディフェンスを相手に走りまくるBettisは何と100Yd突破。咆えまくるBettis。大興奮のファン。

チームも勢いづいて、以後のレギュラーシーズンの試合を全勝して、WildCardの2位で滑り込みでPlayoff進出。

Playoff初戦。去年は、Jetsにギリギリまで追い詰められたものの、今年は危なげなく突破。

Colts戦。今季の話題をほぼ独占したチームを相手に、Benが昨年とは別人のような落ち着いたプレーぶりで攻撃をリード。最後、Bettisがまさかのファンブルをした際に、逆転TDからチームを救うタックルまで見せる獅子奮迅の働きぶり。

続くBroncos戦でもBenは完璧なプレー。とうとう、本当にBettisをSuperBowlまで連れて来てしまった。

SuperBowlまでの2週間は、Bettisの話題ばかり。チームがBettisのノートルダム時代のジャージを着てきたとか、Bettisが市長を表敬訪問したとか、ひたすらBettis。

試合前のPreGameShowでもBettis。

選手入場で先頭を一人で走っていったのもBettis。

PITらしくないBenのミスはありながらも、PITらしいオプションプレーとディフェンスで見事に勝利を掴んで、Cowherがロンバルディトロフィーを手にした後、Bettisが壇上でそれを高々と掲げ、引退を表明。

Bettisは、いつも笑顔を絶やさず、黙々とチームのために走り続けて、その晩年にBenがやってきて、何度も希望が潰えそうになりながらも、その度にカムバックして…。

ほんと、出来すぎだよな。