白い人・黄色い人

ASIN:4101123012

両作品とも、キリスト教を扱った短編。白い人は、斜視の醜い男と神学生との争いを、黄色い人は、日本人女性と関係を持ったことで教会を追われた元神父を描く。

面白かったのは、黄色い人のほう。遠藤周作の作品で頻繁に出てくる、「キリスト教の伝統をもたない、日本という汎神論的風土において、神はどのような意味を持つかということです。(解説より)」というテーマがこの作品でも語られる。元神父が恐れた、日本人特有の能面のような無感動の顔。自らの罪とは関係なく、念仏を唱えることで救われる仏教。

「侍」、「沈黙」でも、「日本人はキリスト教を受け入れぬ」という言葉が頻繁に登場する。西洋人とまったく同じように受け入れるのは無理だろうとは思うけども、「沈黙」の解説か何かにあったように、日本人なりに咀嚼して受け入れることは可能なのだろう。大切なのは、やりかたを真似るのではなく、その本質を理解することで、その意味では、「侍」でメキシコにいた日本人も、「沈黙」のロドリゴも同じなのだろう。あ、ロドリゴは日本人じゃないか。