構造主義科学論の冒険

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構造主義を一言で言えば、「同じモノを見ても、解釈の仕方は人それぞれ違う」といった感じになるのだろうか。ともかく、そんなところに共感を覚え、友達から薦められたのがこの本。

でも、ちょっとなじめなかったなぁ。

古代ギリシャから現代の物理、化学、生物などを、自説を織り交ぜながら解説していくのだけど、解説対象になっている分野の基礎知識がないので、語られていることの根拠に説得力を感じることができず、なんかごにょごにょと理屈をこねてるだけに感じてしまい、本当は単なる主観なんだけど、それをさも当然のように飾り立てているような気がしてきてしまった。遠藤周作の「イエスの生涯」、「鉄の首枷」に感じたような違和感に近い。

あと、途中で脱線したように現代社会への愚痴が入るのも好みが分かれるところ。その愚痴には共感できるものもあるんだけど、そういうのは別の機会にして下さいと言いたい。

もうちょっと知識を仕入れてから読んだら面白いかもしれない。でも、科学史ってあんまり興味ないんだよね。あと、自分は普段シンセシス型の科学ばかりを扱っているので、ここで取り上げられた科学がどれもアナリシス型だったのも違和感の原因の一つ。

でも、構造主義それ自体は興味深い。