中田引退

日本では、第2の人生へ向けて歩みだす姿が素晴らしいとか、日本ではポジティブな意見が多いみたいだけど、僕はどうも、そこまで賞賛するほどのものだとは思えません。どちらかというと、志半ばで残念、という感が強いです。


中田の引退からは、同じく突然に引退を表明したMichaelJordanとRickyWilliamsを連想しました。

Jordanは、都合3回引退していますが、最初の突然の引退で既に「極めつくして」辞めました。"I have nothing left to prove.(自分には、もう証明すべきものが残されてない)" という言葉は、今でも強烈に覚えています。これまでの実績への誇りと、目標が無くなった寂しさと、両方が混ざったこのセリフに、いつかは、こんなこと言ってみたいものだと思い、今でも思ってます。もちろん、当時のJordanは父親が殺害されたばかりで、この台詞だけが引退の理由ではないですが、この台詞が完璧にフィットするほどの実績がありました。

対して、中田は、ここ数年のクラブチームでの不振や失敗に終わったワールドカップなど、いわば、逆境の中での引退(もちろん、この逆境の原因は、中田だけの問題ではないのだけど)で、僕には「逃げ出した」ように感じがして、何かモヤモヤしたものが残ってました。中田の日本サッカーへの貢献は、ピッチの中だけでなく、ベルマーレLリーグへの貢献などピッチの外にも渡る幅広いもので、素晴らしい。だから、それに相応しいように、クラブチームで復活を果たして引退してほしかった。

Jordanと中田とを比べるのは、競技も実績も違うのでフェアではないのは承知ですが、Jordanの力強い言葉に対して、中田の「自分探し」というのが、どうにも弱々しくナイーブに感じてしまい、そこで浮かんだのがRickyWilliamns。

Williamsは、NFLでも有数の選手でしたが、2004年のシーズン前に突然引退しました(薬物が原因かとされています)。そして、オーストラリア、日本、インドなど世界中を周りました。

結局、2005年のシーズンにNFLに復帰しますが、薬物反応のために1年間の出場停止を言い渡され、今シーズンはCanadaのCFLで、Torontoの選手としてプレーしています。Williamsの場合は、薬物が引退の主な要因なので、Jordanとの比較とは逆の意味で中田にアンフェアですが、まだまだ一線でプレーできる選手が、思わぬ理由で引退してしまう時にファンが感じる「理不尽さ」の例にはなるかと思います。


ま、なんと言うか、今後、空間デザインとか、MBAで経営参加とか、そんな小洒落た形なんかじゃなくて、もっと分かりやすい形でサッカーに貢献してくれたらいいのに、とか思う反面、中田にしか出来ないような、何かとんでもないことがあるのかもしれないと期待もあります。