ユーゴ紛争ー多民族・モザイク国家の悲劇

tetsugo2004-06-02


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前々から読もうと思っていた本をようやく読んだ。

スロベニアクロアチアのユーゴ連邦からの独立戦争について、通りいっぺんの説明ではなく、作者の取材による当事者たちの生の声が多数収められている手触りの確かな本。読後に、これほどの充実感を得られた本は珍しい。

たった数年前までは、隣人として付き合っていた人々たちが、なぜ民族主義に傾き、武器を取り合うようになってしまうのか。なぜ、民族主義の主導者は、多くの人々の支持を集めるのか。民族浄化など、許しがたい暴挙だ。民族と国家、なんて問題は、既に語りつくされた問題ではあるけれども、未だに深く考えさせられる。

グランパスサポーターにとっては、セルビアへのイメージは決して悪くはないと思うが、この本で、国際社会からみたセルビアのイメージを知り、「セルビアが好き」と発言することの重みを理解したほうが良い。