台湾―四百年の歴史と展望

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ちょっと前に、ほぼ同時期に台湾と韓国とを訪れたことがあって、韓国とくらべ、台湾のほうがかなり居心地がよかったのは何でだろうと考えたことがあった。一番は、文字の問題。台湾の漢字は読めるが、韓国のハングルは全く読めない。二番目は、食べ物の問題。台湾料理はどれも非常においしかったが、韓国料理では、サムゲタンで腹を壊してえらい目にあった(もっとも、辛いもの集中して食べた私が悪いのだけど)。そして、無視できないと思ったのが歴史から来る対日感情。韓国で安重根記念館などでの日本の捉え方は、噂には聞いていたものの非常に興味深かった。一方、台湾においては、日本に対する激情を感じることがなく、日本語を話す年配の方もいた。半分ぐらい読んだところで放置してある李登輝の「武士道解題」でも、元台湾総統である彼が、日本を非常にポジティブに語っている(日本市場を考慮したリップサービスもあるのだろうけど)。

で、植民地支配を経験した両国には、どのような違いがあるのかと思い手にとったのがこの本。タイトルの通り、新書で振り返る台湾の四百年、という内容。とても分かりやすく、読みやすかった。

台湾が歴史に登場するのは、16世紀になってからで、非常に新しい土地であることを始めて知った。それまでは、倭寇のねぐらとして使われており、なかなか立ち入ることが難しかったらしい。その後、オランダ、鄭氏(明)、の数十年の支配の後に、清が二百年近くを治めた後、日清戦争の結果、日本の領土となり、日本の敗戦後は中華民国に属して現代に至る。ちなみに、土着の台湾人(独自の文化、風習を持つ)は非常にすくなく、大部分は、大陸からの移民らしい。

日本による台湾支配が始まったころには、激烈な武力抵抗が起こっており、決して日本が歓迎されたわけではない。だが、戦争終結後も、台湾人による自治独立が果たされたわけではなく、二・二八事件などに象徴されるように、単に支配者が大陸からやってきた中国国民党に変わっただけ、と捉えられていたようだ。

結果から言えば、日本の後にやってきた国民党による圧政への怒りのほうが強い、ということになるんだろうか。うーん、まだちょっと情報量が足りない気がするな。


ちなみに、この本は図書館で借りたのだけど、何年間か利用がないとデータを抹消されてしまうらしい。でも、カードは再利用できるので、同じカードでデータを再登録してもらいました。カードの再利用が可能ってのは面白いなぁ。