隠し剣孤影抄

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映画「隠し剣鬼の爪」の原作となった短編を収録。たそがれ清兵衛も、鬼の爪も、城勤めの下級武士が主役だったけど、この短編集の主人公たちもそういう、言わば弱い立場の人たち。派手なチャンバラ劇ではなく、どちらかといえば地味な人たちが己の意志と世間体とに折り合いをつけながら活躍する。隠し剣鬼の爪については、映画を先にみることをおすすめする。

こういう、集団主義的というか、自己と社会との相対的な関係をベースにした価値観に対する葛藤って、個人主義の国ではどういうふうに受け止められるんだろうか。ダバディーあたりなら、「ああこれは日本的価値観だなぁ」という認識はしてくれるだろうが、共感できるかどうかは分からない。分析は、いーっぱいしてくれそう。